ご即位記念の正倉院展に行ってきた

ご即位記念の正倉院展に行ってきた

新天皇のご即位記念で正倉院展を東京国立博物館で開催中です。
めったに見れない宝物があると聞いて、行ってきました。

 開催概要

名称

御即位記念特別展「正倉院の世界―皇室がまもり伝えた美―」

開催場所

東京国立博物館 / 平成館 特別展示室

開催日

2019年10月14日(月) ~ 2019年11月24日(日)

料金

一般1,700円(1,500円/1,400円)、大学生1,100円(900円/800円)、
高校生700円(500円/400円)、中学生以下無料

公式サイト

https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/

混雑状況

初日に行ってきました。
私が訪問したのは初日のお昼ごろ。
上野駅のチケット売り場はかなり混雑していましたが、東京国立博物館前のチケット売り場は並んでいる人はほとんどおらず、チケットのスムーズに買えそうでした。
事前にチケットを持っていたので、正門をするっと抜けて、平成館へ。
会場の平成館前にはTwitterを見ていると、開場前には500人ほどの行列になっていたようですが、ここもなんなく通過。

コインロッカーに荷物を預け、チケットを切ってもらって、会場へエスカレータで上がります。
会場にも比較的スムーズに入場できました。

会場内もまずまずな混雑具合でした。
見れなくもないけど、一番前で見るには少し並ばないと見れないというような状況です。
並ぶとはいえ、少し待てば最前列で見れるという感じですので、それほど大変な印象はなかったですね。
展示物には碁石のように小さなものもいくつかあったので、多少並んででも最前列でみることに価値があるように思いました。

初日だったこともあってか、比較的スムーズに進むことができたと思います。
これから徐々に口コミなどが広がっていくと、混雑してくることも予想されます。
会場内だけでなく、会場の外でも待つことになると、国立博物館は室内で待つことがほとんどないので、雨の時などはかなり大変です。
可能なら平日がよいと思いますが、休日しか行けない場合は、なるべく早いタイミングで訪問されるのが良いと思います。

ちなみに客層ですが、やはり正倉院展ということで、中年・シニア層が多かったように感じます。ご夫婦、ご家族での来場の方が多いような感じがしました。(意外にも小学校低学年ぐらいのお子様も多数いた気がします。)若いカップルもいないわけではないですが、かなり少ない印象でしたね。若い方は女性のお一人様も何人かいらっしゃったように思います。

ポイント

前期と後期で展示内容が変わります。
見たいものが展示されているかは確認しておくのが良いかもしれません。
目玉の宝物が結構入れ替わるみたいです。
前期展示:10月14日(月・祝)~11月4日(月・休)
後期展示:11月6日(水)~11月24日(日)

正倉院展と聞いて、奈良時代とか1000年以上たっているようなものだと、古くて黒くなっていてよく見えないものといった印象を漠然ともっている方もいるのかもしれません。
奈良時代の普通の品物であれば、そうなっているものも多いかもしれませんが、「正倉院」は特別だと思います。
正倉院はその構造や今までの修理も都度行われていることなどもあり、保存状態は極めて良好で、螺鈿の豪華な作りは最近作られたものといっても過言ではないぐらい綺麗なものです。
一度見てもらうとその違いがわかるのではないかと思います。

展示内容と感想

東京の国立博物館、平成館での特別展は、2F部分を使って行われることが多く、今回も2F部分が使われていました。
階段部分が真ん中にあるので、第一会場、第二会場という二部構成になっています。(真ん中の階段フロアはショップになっています。)
順路が定められているわけではないので、好きなところから見ればいいのですが、順番に見たい人は第一会場からの入場をお勧めします。
見たいものが決まっている人はいきなりその会場にいくのがいいかなと思います。

ちなみに、正倉院本体は世界遺産に登録する前提として、国宝指定されていますが、正倉院の宝物については、国宝指定がされていません。
正倉院は管理が行き届いていて、国宝指定せずとも、散逸、破損の可能性が極めて少ないとされているためです。
なので、今回の展覧会に国宝となっているものはほとんどない(正倉院の宝物では国宝はない)です。
ただ国宝級のお宝が山のように出品されているので、「国宝」「重文(重要文化財)」の記号だけで見分けるのは、やめたほうがいいですよ。

国宝指定されているものは、法隆寺献納物です。今回は正倉院と同時期に光明皇后によって献納されている法隆寺献納物もいくつか展示されています。
法隆寺献納物は明治時代の廃仏毀釈のころに宝物が散逸してしまいそうになったことから、国立博物館に寄贈されて、現在に至るものとなっています。
このため、国宝指定がされているものが多くなっていって、東京国立博物館が多くを所有している状態になっています。


ちょっと余談ですが、東京国立博物館には法隆寺宝物館があります。
場所が少し正門から離れているのでわかりにくいのですが、表慶館の裏側にある建物です。東京国立博物館の建物は昔ながらの建築物といった感じが多いですが、ここはモダンな建物です。
今回展示されているものも、この法隆寺宝物館にあるものを持ってきています。

法隆寺宝物館はその場所柄なのか、いつ行っても空いています。
今は、正倉院展の特別展に出品しているものは張り紙が貼られていますが、通常は特別展にも展示されるような、国宝や重要文化財といったお宝がずらりと並んでいます。
でも本当に空いているんです。もったいない感じがします・・・。
静かに仏様と対面するには最適な場所だと思いますので、よかったら足を運んでみてはいかがでしょうか。(常設展の一環で見れますよ。)


第1章 聖武天皇と光明皇后ゆかりの宝物

最初は正倉院にゆかりの深い、聖武天皇、光明皇后ゆかりの品々が並んでいます。
入り口であること、細かい品々も多いことも多いことから入場口がやらた混んでいますので、一旦中に入ってしまってから、必要に応じて見ていく感じがいいと思います。

東大寺献物帳(国家珍宝帳)

14メートルほどの長さがある巻物ですが、その全貌がみれます。(前期展示)
きめ細かい字で正倉院に奉納されている一覧が一つずつ記載されています。
丁寧な楷書体のため、読もうと思えば現代のわれわれでも大体読み取れそうです。
全部を読むのは骨が折れますが、展示されているものがどのあたりに書かれているのかはポイントされているので、見ていくと面白いと思います。
もう一つみどころとしては、天皇御璽でしょうか?すき間なく三段の天皇御璽が押されています。改ざん防止の役目があるのではないかといったような話をしている人がいましたが、実際のところはどうなんでしょうね。(未確認です。)

平螺鈿背八角鏡(円鏡)

前期は平螺鈿背八角鏡の出品がありませんでしたが、同じようなもの(円鏡)が出品されていました。この円鏡も十分に見ごたえのあるものでした。
鏡の裏面という、従来は見ることもないようなところに施されている細かな細工、豪華な螺鈿にトルコ石。贅を尽くした鏡はかなり引き込まれます。

碁石

聖武天皇愛用と伝わる碁石らしいですが、あまりにもきれいなままなので、ほぼ使用されていないと思いました。
通常碁石は黒・白ですが、ここでは、紺・赤(朱)です。
それぞれの碁石に花喰鳥が描かれています。全部で600個ほどあるようですが、本当に全て描いているとなると気が遠くなるような作業です。先人の芸術に込めた力の入れ方が伝わる作品です。

第2章 華麗なる染織美術

正倉院に残る織物類などを展示してるコーナーです。正倉院に残る織物類は、法隆寺献納物とともに、世界最古の伝世品として知られているものとなっています。
織物はほとんどが残欠という形になっています。残欠とは、元々は旗や敷物だったものの一部を別の形にして保存しているというものです。
残欠とはなっていますが、1000年も前の色彩が鮮やかに残っているものもあり、当時をしのぶことができます。

墨画仏像

当時の絵師がさらっと書いたような筆さばきの菩薩像ですが、さらっと書いたにしては、すごく立派な菩薩様です。しかも普通の紙に書くような大きさではなく、かなり大きな麻布に書いていることを考えると、かなりのベテラン絵師が書いたものだと思います。
そのスピード感ある筆さばきとクオリティに感服すること間違いなしです。

花氈

舶来品のフェルト製の絨毯ですが、ほぼ虫食いなどなくきれいな状態で保存されています。フェルト生地だとしばらく置いておくだけでも虫食いになってしまいそうですが、保存技術がよかったのだと思います。

いかにもといったペルシャ柄で当時の日本では手に入らないような価値の高い一品だったことは間違いないと思います。
柄を作った後全体の後ろから押しあてる形で作られているようで、その作り方も今とは違い工夫されて細かな柄が描かれていることに感心しました。

第3章 名香の世界

黄熟香

別名のほうが世間的には知られているかもしれませんが、別名は”蘭奢待”(らんじゃたい)と言われる香木です。蘭奢待には”東大寺”という言葉が隠れているので、こう呼ばれているらしいです。

足利義政や織田信長がその香りを確かめるために切り出されたあとがしっかりと残っているのが印象的です。天下人は場所を遠慮することなく、かなりいいところから取得していることがよくわかります。また明治天皇も切り出したようで、少し遠慮した形になっているようには見えましたが、合計三か所切り出されています。

展示室はガラスで区切られた空間のため、そのものの香りはわかりませんでしたが、きっとガラスの向こう側には香りがしているんでしょうね。この展示室にいる間は何となく、香りを気にしながら、見る感じになると思います。(なので、ちょっと香水の匂いがする人が近くにいると気になってしまいます・・・)

第4章 正倉院の琵琶

正倉院の宝物の代表格といってもいい、琵琶が展示されているコーナーです。ここがこの展示会のメインだと思います。
琵琶そのものもそうですが、その復元作品も置かれていますし、復元に向けた工程や琵琶の(想像での)音色、音楽も流れています。
ちなみに、琵琶だけでなく、有名な撥も展示されていますよ。(撥の先が少し塗装が剥がれていて、使われた形跡があるのでリアルです。)

螺鈿紫檀五絃琵琶

螺鈿紫檀五絃琵琶


※写真は明治時代の複製品です

現在、五弦の琵琶は存在していないことから貴重なものとなっています。古代インドが起源とのことなのですが、インドにも五弦の琵琶は存在していないらしく、シルクロードの果てである日本に残っているのはかなり貴重ですよね。
ラクダに乗って琵琶を演奏する姿が螺鈿で描かれていますが、当時の日本ではラクダなど見たことがないはずで、渡来した宝物に敬意を払い丁寧に扱ってきたことが想像に難くないです。

表だけでなく、裏側もかなり豪華な螺鈿細工。螺鈿で宝相華文(ほうそうげもん)をあしらっています。またウミガメの甲羅である玳瑁(たいまい)も螺鈿とあわせて使われており、かなりの時間をかけ、丁寧な作りをされていて、感心しきりでした。玳瑁には模様が描かれています。それでなくても貴重な玳瑁にさらに模様を描いて貼り付けると気が遠くなるような作業だったのだと思います。

なお、側面にもべっ甲が使われており、復元での制作風景を見ていてもものすごく時間をかけた作り方をしていることがよくわかりました。
昔ながらの手作業は1000年以上たった今でも感心されるようなものというすごさ。これは見ておく価値ありです。

第5章 工芸美の共演

ここでは、飛鳥時代から奈良時代にかけて、同じ用途で用いられてきたものがどのように変遷してきているかがわかるように、飛鳥時代のもの(法隆寺宝物)と奈良時代のもの(正倉院宝物)で並べて展示されています。

伎楽の面や水差しなど、異国情緒が漂う宝物が多く扱われていました。
前期展示だからかもしれませんが、複製品との対比となっているものもいくつかあり、複製品からは当時の輝きが見て取れたのもよかったです。

第6章 宝物をまもる

最後はどのようにして、正倉院の宝物が守られてきたのかの歴史及び現在の修復などの様子が展示されていました。
一部、複製などは写真撮影が可能となっているところでした。
(このコーナー全てが写真撮影可能ではないので、注意が必要です。)

実物大の正倉院模型

実物大の正倉院模型

正倉院が実物大でその一部が展示されています。
下から見る形になりますが、その巨大さは圧巻です。幅もそうですが、高床式になっているその高さも当時の建築技術からして相当高く作成しているのが、わかります。

そんな中で倉庫部分には鍵がかけられているわけですが、勅封になっています。天皇の許可がないと開けられないよう親書が鍵に封印されている状態になっています。
これは現在正倉院の近くにある倉庫も同じように勅封されているとのことで、その勅封を開ける儀式のビデオが流されていますので是非ご覧頂ければと思います。

塵芥

正倉院の宝物を守る中でこれは感動ものです。まさにお宝だからという感じではあるのですが、いくら保存がしっかりしているからといって、すべてが長年に及ぶ保存ができるものではないのが実態です。

経年劣化によって、切れてしまった衣服や旗、壊れてしまった宝物、屑になってしまったものなど色々あるようですが、すべて塵芥入れに入っており、これも保存されているとのことでした。

これらをひとつずつより分け、同じ色や金属、繊維の種類などにわけていくことで、ものをしっかりと保存しつつ、後世に向けて解析をおこなっているとのことでした。

大正時代から100年以上より分けをおこなっているとのことでしたが、まだまだ終わっていないそうです。
これも作業風景がビデオで流れていましたが、ひとつずつ大切に扱われている様は、まさに「宝物」といった感じでした。

巡回

当展示会の巡回は確認できませんでした。
同時期に毎年奈良国立博物館で行われている正倉院展もあるので、東京国立博物館で興味を持った方は奈良にも行ってみるとさらに奥深く正倉院の魅力にはまれると思います。

2019年10月26日(土)~2019年11月14日(木)第71回 正倉院展 奈良国立博物館

アートカテゴリの最新記事